トラブルいとわぬ親分肌の「知の超人」 建築家・磯崎新さんをしのぶ

有料記事

編集委員・大西若人

 名刺を持つ手が震えるほどに緊張したのは30年以上も前の駆け出し時代、この偉大な建築家に初めて会った時だった。

 福岡市で5カ国6人の気鋭の建築家が集合住宅群を造るプロジェクトの指揮に当たり、その発表会でのこと。1960年代から建築界の中心にいて、1980年代にはポストモダン建築の旗手として海外でも仕事を手掛け、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。

 福岡での斬新な計画に、後に巨匠となる欧米建築家らとともに起用されたのが建築界の“武闘派”石山修武(おさむ)さん(78)だ。「磯崎さんはトラブルをいとわない。ややこしい話はいつも僕に持ってきましたよ」と話す。「無理難題を言っても、怜悧(れいり)極まる人で、それがどうなるか分かっていたんだと思う」とも。

 さらに、熊本県で多数の公共…

この記事は有料記事です。残り759文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません