禁固25年の「ホテル・ルワンダ」モデルが釈放 米国が働きかけ
米国政府は24日、映画「ホテル・ルワンダ」のモデルとなり、その後投獄されていた元ホテル支配人ポール・ルセサバギナ氏(68)が釈放されたと発表した。米国は同氏の釈放に向け、ブリンケン国務長官が昨年8月に首都キガリを訪問するなど、ルワンダ政府と数カ月にわたり接触してきた。同氏には現在、現地の米大使館員が付き添っており、数日以内にカタールを経由して米国に渡り、家族と合流するという。
ロイター通信などによると、ルセサバギナ氏は2021年9月、カガメ政権の対立勢力とのつながりなどを指摘され、テロ組織に関わったなどとして禁錮25年の有罪判決を受けた。ルセサバギナ氏側は容疑を否認し、裁判を「政治的な偽物」だと主張。同氏が住んでいた米国内では裁判の公正性が疑問視されていた。
ブリンケン氏は「ルセサバギナ氏の釈放を歓迎する。平和的手段によってルワンダと世界の政治的変化を求めるという原則を再確認する」などとする声明を出した。米高官は今回の釈放をめぐり「米政府がルワンダ政府に対して何か譲歩をしたわけではない。両政府と本人が関与して進歩を積み上げた結果だ」と語った。
ルワンダ司法省が24日に公表した、カガメ大統領宛ての昨年10月14日付の書簡によると、ルセサバギナ氏は自身が関与する反体制派グループについて「メンバーが非暴力の原則を完全に守るよう、もっと注意を払わなかったことを後悔している」などとつづっている。釈放後は「残された日々を米国で静かに過ごす」とし、ルワンダの政治には関わらない意思を示していた。(ワシントン=下司佳代子)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。