首相ウクライナ訪問、制度改善の契機に 福田充さんのコメントプラス
「岸田首相がロシアに一方的に侵攻されたウクライナを支援し、ゼレンスキー大統領と直接首脳会談を実施するために現地を訪問することに政策的合理性は存在する」
3月21日配信の記事「岸田首相、ウクライナ訪問へ ゼレンスキー大統領と初めて対面会談」に、日本大学危機管理学部教授の福田充さんは、日本が積極的平和主義を掲げて民主主義陣営と国際協調主義を維持することが、世界と日本の安全保障において「長期的な視点で正しい選択」と前置きした上で、こうコメントした。
この記事の配信後、岸田文雄首相はウクライナの首都キーウを訪問。ゼレンスキー大統領と対面で会談した。ロシアによるウクライナ侵攻後、主要7カ国(G7)の首脳で最後となる現地入りを果たした。
記事では、首相のウクライナ訪問は、安全確保や秘密保持などが課題だったと指摘。国会開会中の首相の海外出張は国会が事前承認する慣例があり、情報が漏れて安全確保に支障が出る恐れがあるため実現してこなかったが、与野党から事前了承なしでも訪問を容認する意見が出て、環境が整っていった経緯を紹介した。
福田さんは「こうした行動をとるための制度が政治的に整備されてこなかったことが問題」だとして、国会での事前承認や自衛隊による海外での要人警護、報道の一部規制と情報管理の問題を列挙。
戦争や紛争、テロリズムといった安全保障上の問題を抱える国家や地域を、日本の首相や代表者が平和構築のために訪れることは今後さらに求められるとして、今回の件は「こうした事態に対処するための足枷(あしかせ)となっている現状制度を改善するための契機」にすべきだと訴えた。
そして、もし今回は例外的だとの態度を貫き、何の制度改革も行わなければ「今後も半永久的に日本は場当たり的な行動を取り続けるだろう。それは近代国家とはいえない」と懸念を示した。
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