「サンマ漁獲枠25%削減」の効果は? 退けられていた日本の提案
歴史的な不漁が続くサンマの漁獲枠が、北太平洋全体で25%削減されることになった。24日まで札幌で開かれた北太平洋漁業委員会(NPFC)で合意した。日本政府は「資源強化に向けて前進できた」とするが、実際に資源回復につながるかは見通せない。
NPFCは、中国や台湾などが北太平洋公海での漁獲を増やしてきたことから、資源管理のために2015年に設立された。日本のほかにロシア、中国、韓国、台湾、バヌアツ、欧州連合(EU)、米国、カナダの計9カ国・地域が加盟している。
管理対象は、別の国際機関で管理しているカツオ・マグロ類、サケ・マス類、鯨類を除いた北太平洋公海に分布する水産資源。最も関心が高まっているのがサンマだ。
20年に55万6250トンの漁獲枠が初めて設けられた。21年には4割減らし、33万3750トンとなった。今回は23、24年の漁獲枠を25万トンとすることで合意した。このうち、公海での漁獲枠は19万8千トンから15万トンに減らす。
さらに、産卵前の小型魚が多いとされる東経170度より東の海域を6、7月は禁漁とすることで合意。加盟する国・地域ごとに操業する漁船の数を減らすか、半年ほどの禁漁期間を設けるか、いずれかの対応をとることも決まった。
政府代表として交渉にあたった高瀬美和子・水産庁審議官は「資源状態が悪く、回復のための措置を取らないといけないという点では一致した。資源評価すら一致できない時期もあったことを考えれば前進した」と述べた。
ただ、今回の漁獲枠の削減は、実効性のある規制とはなっていない。
受け入れられなかった日本の提案
海域全体のサンマ漁獲量は1…