「ややこしい客対応」に月20万円の用心棒代 ラウンジ経営者に勧告
暴力団組員に毎月20万円の用心棒代を支払ったとして、兵庫県公安委員会は神戸市内でラウンジを経営する女性に、利益供与をやめるよう勧告した。県暴力団排除条例に基づくもので24日付。女性は県警に「10年ほど前から金のやりとりがあった」と話したという。受け取った指定暴力団山口組系の男性組員(76)も勧告対象となった。(小川聡仁)
用心棒代などとして飲食店が暴力団員に金銭を支払う行為は、各地に残る習慣。「みかじめ料」と呼ばれ、暴力団の伝統的な資金源になってきた。暴力団側からの求めを断れずに店が支払う例も多いとされる。みかじめ料の支払いのため、店が店内のサービス料金を高くすれば、利用客にも影響が出る。
今回の勧告は、暴力団側だけではなく飲食店側にも、みかじめ料の授受をやめるよう求めたものだ。県警によると、勧告は3年ぶり16件目という。
県警暴力団対策課によると、女性は昨年10月~今年1月、経営する神戸市内のラウンジでトラブルが起きた際に解決してもらう対価として、月に20万円(計80万円)を組員に渡した。「ややこしい客に対応してもらうためだった」(女性)という。
「昔からの付き合い、断ち切れない店も」
2011年施行の県暴排条例は、暴力団と関係を持ったり、威力を利用したりしないことを「県民の責務」と位置づけている。勧告はみかじめ料の授受を続けるおそれがある時に行われるもので、従わない場合は氏名などが公表される。
この条例は19年に改正され、さらに厳しくなった。三宮地区(神戸市中央区)、福原地区(同市兵庫区)、神田新道地区(尼崎市)、魚町地区(姫路市)を「暴力団排除特別強化地域」に指定。4地区内では、利益供与を受けた組員だけでなく、現金を渡した飲食店主らにも1年以下の懲役か50万円以下の罰金を科せるように厳罰化された。利益供与を自ら警察へ申告した場合に刑を減免する規定もある。
捜査関係者は「条例改正でみかじめ料の支払いは減ったはずだが、昔からの付き合いを断ち切れない店も残っているはず」と話す。(小川聡仁)
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