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　1枚の写真がある。

　サッカーの「キングカズ」こと三浦知良が右手を上げる。取り囲む少年たちの中に、髪の長い色白の中学生がいる。

　菊池流帆（りゅうほ、26）だ。今はJ1神戸に所属する。今季は開幕前からけがに悩む。それでも努力する姿は、あの時と重なる。

　菊池の出身地は岩手県釜石市で、12年前に東日本大震災の大津波に襲われた。カズとのショットは、避難所で激励する様子を紹介した番組をテレビ越しに撮った写真で、菊池は今もスマホに保存している。

　震災後はグラウンドなどに仮設住宅が立ち並び、練習もままならない。Jリーガーへの夢もあきらめかけた。だが、カズの励ましで再起した。

「自主練しても意味ねえよ」　笑われた4軍時代

　サッカーを始めたのは小学2…