第2回震災で諦めかけたパン屋継ぐ夢 看板に刻んだ「SINCE1991」

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小林未来
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 千葉県茂原市のパン屋「ブレッドハウス」のイチオシ商品は「ムーンハーフ」だ。パン生地はふわふわ食感で黒糖味がやさしく、上はサクサクのクッキー生地で覆われている。福島県浪江町で営業していた頃から変わらない、店の一番人気だ。

 店長の都築佳丸(よしまる、29)は、12年前の東日本大震災当時、高校2年だった。卒業を1年後に控えて、思い描いていた進路は「パン屋を継ぐこと」。震災前の冬には、父和良(63)に伝えた。和良は「うれしかった。将来のことを想像した」。

 親子の夢を阻んだのは、店から約9キロしか離れていなかった原発の事故だった。

 学校にいた佳丸はそのまま2…

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