第1回「消されたくない」語った翌日、彼女は消えた 「白紙運動」続く拘束

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北京=高田正幸
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 北京の出版社に勤務する曹芷馨さん(26)の身に異変が起きたのは、昨年11月29日昼のことだった。警察を名乗る複数の人物が突然、北京の古い住宅街「胡同」にある曹さんの部屋を尋ねてきた。

 男性の警察官が「曹芷馨だな。一緒に来てもらえるか」と話した。別の警察官は「大勢いるから、心配しなくていい」と落ちつかせるように語りかけた。寝間着姿だった曹さんは、取り乱しながらも「服を着替えさせて欲しい」と応じた。

 なにが起きたのか。この事態を知った知人には思い当たるところがあった。

 2日前、曹さんは北京市中心部であった「ゼロコロナ」政策への抗議活動に参加していた。白い紙を掲げて抗議の意思を示したことから、「白紙運動」とも呼ばれた活動だった。その後、一緒に現場にいた友人たちとの連絡が続々と途絶えていた――。

 昨年11月、中国各地に広がった白紙運動をめぐり、中国の警察が参加者を相次いで摘発している実態が、関係者の証言で浮かび上がった。2回にわけて報告する。1回目では、参加者の1人で「理由もなく消されたくない」と語る動画を残した後、連絡が途絶えた曹芷馨さんを知る人びとが、詳しい経緯とその後を語った。

立ちあがった若者たち だが、事態は想像を超えた

 一連の抗議活動の発端は、昨…

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2023年3月28日11時30分 投稿
    【視点】

     恣意性。基準が一定しない。そんななかで拘束・逮捕され、世間から抹殺される。こんなストーリーを何度これからも聞くのだろう。  この隣国は、安全の尺度を人間ではなく共産党に置いている。党の支配の安定がすべて。いまはその独裁者の支配がすべてとい

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