不利なスタメン争いでも前向きな阪神・原口 3・11に語った本音

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大坂尚子
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 プロ野球阪神で、ひときわ大きな声を出し、チームを鼓舞する選手がいる。原口文仁内野手(31)だ。首脳陣は大山悠輔内野手(28)を不動の一塁手と見込んでいる。同じポジションの原口はベンチを温める時間が長い。なぜ、前向きになれるのだろうか。(大坂尚子)

 元々、原口の売りは「強打の捕手」だった。2017年に、チーム事情で一塁を任されたこともあったが、ずっと捕手にこだわってきた。

 扇の要のポジションには東京五輪代表だった同学年の梅野隆太郎がおり、守備に定評のある2学年下の坂本誠志郎も続く。21年、原口は1軍で先発マスクの機会がなく、ベンチで控えるのが役割といえなくもなかった。

 「単純にもっと野球がしたい」。これは原口に限らず、プロ野球選手なら誰もが抱く感情だろう。原口は捕手へのこだわりを断ち切り、昨季から内野手登録に変えた。

 決断の理由をこう語った。「試合に出られる確率が少しでもあるなら、挑戦しようと思った」。30歳にさしかかるタイミングで、選手としての残り時間も意識した。それは自身が経験した闘病生活とも無関係ではないだろう。

 19年1月に大腸がんが判明し、手術を受けた。進行度は5段階で2番目に重いステージ3B。一瞬、死がよぎったが、持ち前の前向きな性格で「必ず復帰する」と思い直した。わずか4カ月後の6月4日、1軍戦に復帰し、代打で適時打を放った。

 信念を持って取り組めば、苦しい状況を打開できる。がんとの闘いを経て、原口は確信を抱いた。

 「しんどいことはたくさんあ…

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