寄り添ってくれた長渕剛の歌 大関候補の霧馬山、天を見上げた初優勝
内田快
(大相撲春場所千秋楽)
優勝決定戦は、物言いがついた。「大栄翔の手が(着くのが)早く、霧馬山の勝ちといたします」。アナウンスを聞き、霧馬山は天を見上げた。「相撲部屋に入った時を思い出していました」。水色のタオルで目頭をぬぐいながら花道を引き揚げた。
18歳で入門した。モンゴルから日本に連れてきてくれた両親は、1週間で帰国した。「一緒に帰りたかった」。部屋の稽古では、全く勝てなかった。テレビで見る横綱、大関になるのは無理だと思った。
帰りたい。何度も思った。「…