ウクライナ、安保理に緊急会合要請 ロシアのベラルーシ核配備方針で

ウクライナ情勢

国末憲人=ロンドン 丹内敦子
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 ロシアのプーチン大統領が25日、隣国ベラルーシへの戦術核配備の方針を明らかにしたことに対し、ウクライナ外務省は26日、国連安保理に対して緊急会合を招集するよう求める声明を発表した。欧米でも批判が出ている。

 声明はロシアの対応を「新たな挑発であり、核不拡散条約(NPT)の原則と核軍縮の構図、国際安全保障の総体をむしばむものだ」と批判。国連安保理緊急会合の即時開催を訴えた。

 同時に、ベラルーシ社会に抵抗を呼びかけるとともに、主要7カ国(G7)欧州連合(EU)にも対応を要請した。

 ロイター通信によると、北大西洋条約機構(NATO)の報道官も26日、ロシアは「危険で無責任な」核のレトリックを展開していると非難。報道官はロシアについて「一貫して軍備管理上の約束を破り、最近では新戦略兵器削減条約(新START)への参加を停止している」と批判する一方で「ロシアの核態勢に変化は見られず、我々自身の核態勢を調整することもない」とも述べた。

 プーチン大統領は25日に放映されたロシア国営テレビの番組で、ベラルーシとの間で戦術核配備で合意したと表明。英国によるウクライナへの劣化ウラン弾の供給がきっかけとなったとも示唆した。

 米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は同日の戦況分析で、プーチン氏は「核エスカレーションに対する欧米の恐怖心を利用しようとしている」とし、実際には核戦争の恐れは低いままであるとした。国末憲人=ロンドン、丹内敦子)

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2023年3月27日10時35分 投稿
    【視点】

    ベラルーシは、第二次大戦における独ソ戦の体験をロシア等と共有していながら、ベラルーシ国民の戦争観はロシアとだいぶ異なる。 ロシアにとり、「大祖国戦争」は栄光の歴史であり、それゆえ再現可能とイメージされるのに対し、その全域が3年間もナチスに

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