15歳で渡韓、未経験からつかんだ夢 K-POP注目のIVE・レイ

田部愛
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 世界の若者たちが熱狂するK-POPアイドル。大型新人のデビューが続くガールズグループのなかでも、6人組の「IVE(アイヴ)」はひときわ大きな注目を集めている。

 平均身長169センチのビジュアルに、2021年12月のデビュー時には既に洗練されたパフォーマンス。これまでリリースした三つのシングルの公式ミュージックビデオはすべて、Youtubeでの再生数が1.8億回を超えた。4月10日には初のフルアルバム「I’ve IVE」を発売する。

 そんなIVEに、日本人メンバーがいる。名古屋市出身のレイ(19)だ。

 18年にオーディションを受けたときには、韓国語は話せず、歌もダンスも習ったことがなかったという。そこからデビューまでの3年あまりで、どのように世界のアイドルへ成長したのか。これまでの歩みと、これからの夢を聞いた。

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コンサートで得た幸福感

 ――K-POPアイドルをめざしたきっかけを教えてください。

 もともと音楽を聴くのが好きでした。小さい頃からK-POPがはやっていて、ミュージックビデオを見て好きになったRed Velvetさんの日本でのコンサートに行きました。

 そのとき、みなさんのステージに立つ姿が輝いていて。すごく幸せな気持ちになったんです。それまではただのファンの気持ちだったんですけど、私もこんな人になりたい、こんなアーティストになりたいと思ったのが、夢を持つきっかけでした。

 ――その後、オーディションに応募したんですね。

 たまたま姉が、K-POPアイドルになるための日本でのオーディションを見つけて応募してくれたんです。それまで習ったことはなかったので、歌やダンスについてはほとんど何も知らない状態でした。

練習生をしながら現地の高校へ

 ――オーディションに合格し、15歳で韓国へ。芸能事務所の練習生としての生活が始まりました。語学もままならないなかでのひとりでの海外生活は大変ではなかったですか。

 ホームシックはひどかったです。でも時間が解決してくれたかなと思います。いまはもう外国じゃないみたい。第二のおうちにいるような気持ちです。

 当時は練習生をしながら現地の高校にも通いました。大変でしたが、友達もたくさんできて色んな経験ができたので、卒業したいまは行ってよかったと心から思っています。

 ――いまはメンバーやファンから「キム・レイ」とニックネームがつくほど韓国語が堪能です。どのように習得したのでしょうか。

 最初は事務所で毎日韓国語のレッスンを受けていました。ただ、高校に通い始めて、人見知りながらも一生懸命お友達と話そうとするうちに自然と語学力が伸びていました。とにかく話すことが大切なのだと思います。

 ひとりでいるときは韓国ドラマを見ながら、分からない単語があったらメモして記憶していました。そうするとすごく覚えやすかったです。

かなったデビュー「夢みたい」

 ――2年半の練習生生活ののち、デビューが決まりました。どんな気持ちでしたか。

 練習生のときは大変だったんですが、みんなで一緒に夢だけを見ながら頑張っていました。なのでつらさよりも頑張ろうという気持ちでいっぱいでした。

 デビューが決まったときはメンバーのみんなで一緒にいたのですが、「え?」みたいな感じで。泣いたりすることはなく、とにかく驚いていました。本当に夢みたいでした。

 ――メンバーのユジンさん、ウォニョンさんは21年4月まで活動した「IZ*ONE(アイズワン)」でも活躍し、すでに有名なアイドルでした。そうした背景もあり、IVEはデビュー前から注目されていましたが、プレッシャーはありませんでしたか。

 2人が活動していた経験がある分、頼れるところは多いですし、私もまねして良いアーティストへ早く成長できるように吸収しようと思っていました。プレッシャーよりもその気持ちが大きかったと思います。2人も「頑張ろう」って、すごく手伝ってくれました。

 ――IVEの魅力と、レイさんの魅力。それぞれどんなものだと思いますか。

 それぞれ違う魅力の、多彩なメンバーが集まったグループだと思います。私の魅力はラップと、ユニークなところです。

ラップも担当 3カ国語でリリックも

 ――ボーカルのほかにラップを担当していますね。普段のやわらかい空気感とエッジの効いたラップのギャップに引き込まれます。ラップはもともと好きだったのですか。

 小さい頃からヒップホップを聞くのが好きで。アメリカの2PAC(トゥーパック)とか、有名な方々の曲を母が聞かせてくれていました。家にいるときや車に乗っているときなど「音楽を切らないで!」って言いながら一日中聞いていて、ずっとリズムにのっていたみたいです。実際にリリックを作るようになったのは練習生のときからです。

 ――3rdシングルの「After LIKE」ではリリックメイクに参加し、ソロ曲の「Hiiigh」では日英韓の3カ国語でラップを作っています。どんなことを心がけていますか。

 わたしらしい歌詞を書きたいと思っています。おもしろい単語があったら携帯にメモしておいて、リリックをつくるときに使います。あとは、まずは曲のテーマから連想できる言葉をつなげてメモして、そこからつくりはじめます。

 ただただ、ラップをしているときの自分の姿がすごく好きで。自分らしさを表現するためのひとつの武器だと思っています。

母の「ギャルピース」 まねしてみたら・・・

 ――もうひとつの自身の魅力として挙げている「ユニークなところ」。三つ編みのツインテールやお団子など、キュートなヘアスタイルも目を引きます。

 デビューしたときから、色んな髪形に挑戦していて。ファッションもそうなんですけど、ユニークなものが似合うというのが、私の魅力だと思います。

 ――ユニークといえば、日本で1990年代に流行したポーズ「ギャルピース」の写真をレイさんがSNSで投稿したところ、韓国でポーズが流行。そこから逆輸入されるかたちで日本の若者にも人気が広がりました。どうしてギャルピースを発信しようと思ったのですか。

 幼稚園のときに、母とよくプリクラをとっていて。いま40代ですが、そのとき母が若い頃のポーズをしていたんです。それをたまたままねしてみたら、韓国の方々が気に入ってくださったみたいです。こんなにはやるとは思っていませんでした。

「私はできます!」の目線で

 ――多くのグループがいるなかでIVEは昨年、アジア最大級の音楽授賞式「2022 MAMA AWARDS」や「2022 Asia Artist Awards」で大賞を受賞しています。日本デビューをした後に3カ月足らずで紅白歌合戦にも出場しました。これまでの活躍をどう感じますか。

 最初は色んなことが信じられず、夢みたいでした。でもファンのみなさんに直接会うたびに少しずつ、私たちが愛されているんだと感じることができました。良い評価をいただいた分、もっともっとかっこいいアーティストになりたい。今年は(新型コロナウイルスの)状況もよくなってきたので、さらに色んな国へ行って、たくさんのDIVE(ダイヴ、IVEのファンの愛称)のみなさんに会うことが目標です。

 個人的には、毎回舞台に集中して、去年よりさらにかっこいい姿をお見せするレイになりたいです。

 ――ここ数年、K-POPの世界でデビューする日本人が増えてきました。日本からK-POPアイドルを目指している若い人たちにどんなことを伝えたいですか。

 私はもともと不安な気持ちの強いタイプでした。でもいまは、目の前にあるチャレンジを怖がらず、どんどん挑戦していったらいいと思っています。オーディションでは、出来ないことを考えるよりも、「私はできます!」っていう目線でただただ審査員の方を見つめてみてください。自信を持つことが一番だと思います。(田部愛)

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