下着泥棒確保、深夜巡回…24年務めた駐在さんへ住民からサプライズ

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岩田恵実
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 東京都心から西へ50キロほど離れた場所で24年にわたって「駐在さん」を務めた警視庁の警察官が今月末、退官する。静かな住宅地にある駐在所で妻と二人三脚で約1280世帯の安全を守ってきた。やってきたことは間違いじゃなかった――。そう思えるのは、地域住民たちからの「サプライズ」があったからだ。

 五日市署留原(ととはら)駐在所(東京都あきる野市)の警部補、渡辺剛久さん(60)は1982年に警視庁に入庁。あこがれの白バイ隊員にもなったが、高尾署(東京都八王子市)での交番勤務を経て、より地域住民と直接ふれあいたいと駐在勤務を願い出た。

 複数の警察官が交代で勤務する交番と違い、駐在所に住み込んで地域と交流を持ち、その安全を守るのが仕事だ。いつも住民目線でいること、等身大の自分を見てもらうこと。渡辺さんはそう目標を決めて99年春、留原駐在所に赴任した。36歳だった。

駐在さんとして四半世紀にわたって地域を見守った渡辺さん。赴任からしばらく経ったある事件をきっかけに、「顔」として地域に受け入れられるようになりました。妻と二人三脚で歩んだ駐在生活の終わりに待っていたものとは。

進退をかけた逮捕劇

 2年半が経ったころ、庭先に干している女性の下着が盗まれる被害が管内で相次いだ。連日張り込みを続けるが、容疑者は現れない。住民たちはこの話題で持ちきりだった。「このまま捕まえられなければ、自分に駐在は務まらない」。プレッシャーからストレスが増していた。

 「未解決」のまま4カ月が過ぎたあるとき。妻の園恵さん(59)がつぶやいた。「犯人は外から働きに来ている人じゃない?」

 被害は朝から昼にかけて起き…

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