研究と行動で守るもの 阿古智子さんがつくった中国民主派の集う家
聞き手 編集委員・吉岡桂子
民主主義や自由の価値を求める中国や香港の人々が訪ねる場所が、東京にあります。東京大学教授阿古智子さんの自宅です。研究と行動を両手に携える「二刀流」の知識人、阿古さんの思いとは――。
リレーおぴにおん 「二刀流で行こう」
自宅にはいつも、中国や香港などから来た人が誰かしら泊まっているんです。2010年ごろからでしょうか。
はじまりは、黒竜江省出身の民主活動家、楊春林さんの息子さんです。父親が08年の北京五輪を前に「五輪より人権を」と訴えて、国家政権転覆扇動罪で有罪となるなか、日本の大学で学びたいと来日。中国の農村などで社会調査をしていた私を頼って訪ねてきました。
3年ほど一緒に暮らし、今は日本で就職して結婚し、お子さんもいます。
中国の人権派弁護士の姪ごさんなど我が家に身を寄せた人は、数カ月の短期も含めれば10人を超えます。今も中国の女性弁護士が滞在しています。昨年は1階を大勢が集える開放的なスペースにし、「あじあんコモンズ」と名付けました。ご近所さんも一緒に、自分たちの社会のあり方をわいわいがやがや自由に議論できる場にしたい。
私も助けられています。息子…