「プロ市民」の復権目指す人権賞、福岡市で表彰式 2団体に賞金

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野上隆生
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 「活動家」「日当をもらっている」などとデマが飛び交い、市民運動の担い手が「プロ市民」と揶揄(やゆ)される。そんな風潮にあらがい、「プロ市民」という言葉を逆手に取った「プロ市民人権賞」なる賞がある。5年目の今回受賞したのは、鹿児島の反原発運動と沖縄の基地建設反対運動。4日に福岡市で表彰式があり、それぞれ賞金10万円と3万円が贈られた。

 プロ市民人権賞は、「地域の問題に主体的に責任を果たす市民」という「プロ市民」本来の意味の復権を目指そうと2018年に始まった。

 仕掛けたのは、脱原発や安保法制反対のサウンドデモを仕掛けるなど、福岡の市民運動を担ってきたイラストレーター、いのうえしんぢさん(52)らで、福岡地区合同労組も支援。これまで、05年から性の多様性を取り上げた映画の上映祭を開く「関西クィア映画祭実行委員会」(京都・大阪)、反戦や人権をテーマにしたドキュメンタリーの映画監督早川由美子さんらを選んできた。

 今回受賞したのは、鹿児島市で反原発や環境保護運動に取り組む編集者の鮫島亮二さん(45)=A賞=と、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に「新基地建設反対」と訴え、埋め立て土砂の搬出阻止の活動を続けている「安和(あわ)、塩川で抗議行動を続ける市民」=B賞。

 鮫島さんは08年ごろから地球環境を考える「アースデー」のイベントを企画し、鹿児島市で最初に原発反対のサウンドデモを実行。「天文館アトムズ」という「野球チームみたいな名前」の反原発グループを結成し、若い世代ならではの明るい運動スタイルを目指した。

 福島第1原発事故以降は、原発を止められなかった責任をかみしめ、東日本からの移住者の受け入れをサポートしたり、デモを企画したりしてきた。現在は出版社「燦燦(さんさん)舎」を経営し、自ら書籍の編集も手がけている。

 「安和、塩川で抗議行動を続ける市民」は、一定の組織がなく、リーダーもいない独特の運動体という点が注目された。

 辺野古の海を埋め立てる土砂…

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