相手の領域内にあるミサイル発射拠点などを直接攻撃する「敵基地攻撃」やその能力の保有は違憲か、合憲か――。今国会で野党側が過去の政府答弁から違憲の可能性を指摘している。これに対し、岸田文雄首相らは合憲だと反論するものの、議論は深まっていない。何が問題で、どんな議論が行われているのか。
政府は昨年12月、国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定し、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を決めた。国家安保戦略では「反撃能力は憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力の行使の三要件を満たして初めて行使される」とした。
歴代内閣は、敵基地攻撃は「合憲」との見解を示してきた。その根拠は、1956年2月の衆院内閣委員会で、当時の船田中・防衛庁長官が代読した鳩山一郎首相の答弁だ。
「(ミサイルなどによる)攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」
こうした答弁がありながらも、政府が敵基地攻撃能力を保有してこなかったのは、近隣国に脅威を与えかねないとの政策判断が背景にあった。
今国会では、この答弁で示さ…
- 【視点】
国会議事録から補いますと、日本が持つ兵器が憲法の許す必要最小限を超えるかどうかは「その時々の国際情勢や科学技術等」によるので一概に言えない、という言い方を政府は1998年からしています。北朝鮮が日本列島を越えるミサイル「テポドン」を撃ったの

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