110番映像送信、4月から本格実施 5カ月の試行で効果も

編集委員・吉田伸八
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 110番通報する人が、スマートフォンなどから現場の映像を送る新たなシステムが4月1日から本格導入されるのを前に、警察庁が試行状況をまとめた。今年2月末までの5カ月間に2293件の映像を受理し、行方不明者の発見や容疑者逮捕につながる事例もあった。

 このシステムは、110番通報を受けた都道府県警の通信指令室の担当者が必要と判断した場合、ショートメッセージ(SMS)で専用のURLを送信。通報者がアクセスし、スマホやタブレットから映像を送る。

 警察庁によると、5カ月間で受理した映像2293件の内訳は、通報時のリアルタイムの動画が262件、静止画が383件、通報前に撮影し保存していた動画が139件、静止画が1509件。事案別では、行方不明者の捜索などの「保護・救護関係」が48%、不審な人物や車などの「各種情報」が18%、事故や違反などの「交通関係」が16%と続く。都道府県警別では、神奈川の412件、愛知の262件、兵庫の242件の順に多かった。

 行方不明になった小学生男児の母親が送った男児の画像を捜索にあたる警察官が共有して発見につなげたほか、駐車中の車からガソリンを盗む様子を被害者が撮影し、その画像をもとに警察官が付近で容疑者を発見、逮捕した事例などがあった。

 試行では、通信指令の担当者が口頭で伝える数字4ケタのコードを通報者が入力してログインしていたが、利便性を高めるため本実施ではコード入力を原則不要にする。

 警察庁のまとめでは、昨年1年間の全体の110番通報は約937万件で、そのうちスマホなど移動電話からの通報が76%を占める。(編集委員・吉田伸八

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