「夏は歓喜の拍手にしたい」 光エース升田、苦しみ見つけた夏の目標
(27日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 山梨学院7―1山口・光)
同点の五回1死三塁。詰まった右前安打で勝ち越され、光(山口)のバッテリーは、山梨学院の9番伊藤光輝選手を迎えた。エースの升田早人投手(3年)は「1点は割り切って、次の打者に集中すればよかったが、ズルズルいってしまった」と悔やんだ。追い込んでから左前に運ばれた。
なおも1死一、二塁。福原将斗捕手(2年)はマウンドに走り、「強気に攻めよう」と励ました。だが、次打者への暴投で二塁走者は三塁に進み、左犠飛を打たれて3点目を失った。
升田投手は「今日は気温が低かったので、スピードを出すことより、丁寧にコースを突いて組み立てることを意識した。ただ、変化球が甘く入ったところを打たれてしまった」。
初戦、彦根総合(滋賀)を99球で完封したバッテリーだが、この日は勝負どころで踏ん張れず、被安打8で7点を失った。
福原選手は中学まで投手だった。高校入学後に捕手を任され、新チームでレギュラーの座をつかんだ。甲子園では升田投手と同部屋。どうやって相手打線を封じるか、ずっと話し合っていたという。
宮秋孝史監督は試合後、「守備の要としてよく動いてくれた。リードも今の力で出せるものを出してくれた」と評価した。福原選手は「バッテリーとしてもう一回り二回り成長して、また夏に戻って来られるように頑張っていきたい」と誓った。
昨秋の中国大会後、セットポジションからノーワインドアップにフォームを変え、球威と安定感が増した升田投手。初戦では自己最速の143キロをマークした。「インコースの直球は甲子園で通用することが分かった」と自信を得た。
八回2死で降板した時、スタンドから大きな拍手が起こった。「あれは慰めというか『頑張ったね』という拍手だった。夏は『おめでとう』という歓喜の拍手にしたい」と、苦い思いの残ったマウンドを振り返った。
「制球力を磨き、相手を抑えられる配球を考えていく。また戻ってきて必ず甲子園で2勝を挙げる」。新たな目標を力強く語った。(大藤道矢)
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