広陵、苦境はねのけた左打者たち 左腕攻略のため徹底した決め事

辻健治
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(27日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 広島・広陵3-2長崎・海星)

 広陵は四回まで、相手の軟投派左腕に手を焼いた。苦境をはねのけたのは左打者たちだ。

 五回に1点差に迫り、続く六回。先頭の1番田上(たのうえ)夏衣(かい)はチームの決め事を思い返していた。「とにかく強く、低い打球を打つ」

 カーブを鋭く振り抜くと、右中間を破る三塁打に。次打者の犠飛で同点の本塁を踏んだ。続く七回は1死一、二塁でたたきつけた打球を二塁手が後逸(記録は失策)。勝ち越しの走者を迎えた。

 左投手との対戦には、苦い記憶がある。昨春の選抜大会2回戦。九州国際大付(福岡)の左腕に対し、狙い球を絞りきれないまま11三振を喫して逆転負け。5番だった田上は、3打数3三振と振るわなかった。

 同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。この日に向けた左腕対策として、緩い球を引きつけて逆方向へはじき返すことを徹底してきた。

 五回、1死で三塁打を放ち、反撃の流れをつくった左打者の中尾湊は、序盤を振り返って「打たされているのは分かっていた」。劣勢でも落ち着いていた。

 8強入りは2010年以来13年ぶり。「慌てずにいけた。あの時(昨春)できなかった打撃の修正ができた」と田上。成長の跡を見せ、胸を張った。(辻健治)

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