広陵の田上、俊足生かして三塁打 腰にタイヤ、ダッシュで鍛えた練習

福冨旅史
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 (27日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 広陵3―2海星)

 試合の流れが、広陵(広島)に傾きつつあった。リードオフマンはその好機を見逃さなかった。

 六回裏、1点を追う広陵の攻撃。先頭の田上(たのうえ)夏衣(かい)選手(3年)が左打席に入った。115キロの変化球をとらえると、打球は右中間へ。「いける」。50メートル6秒0の俊足を生かして頭から三塁ベースに飛び込み、ガッツポーズした。

 次打者の中犠飛の間に本塁に生還。広陵はこの回、4球で同点に追いついた。

 試合の序盤、広陵は2点を先行される苦しい展開だった。それでも先発の高尾響投手(2年)が五回と六回、ともにテンポ良く3人で切り抜け、流れを渡さなかった。

 田上選手の三塁打は、その直後に出た。「出塁して流れをつくる」。狙い通りの長打は1万3千人の観衆を沸かせ、勝利をたぐり寄せた。

 熊本県出身。経験豊富な広陵の中井哲之監督の下で野球がしたいと、15歳で親元を離れた。この冬、タイヤを腰で引くダッシュで足腰を鍛え、片手での素振りでバットコントロールを磨いた。泥臭い練習がこの日の結果につながった。

 「次の試合も1点勝負になる。チームを勢いづけるプレーをしたい」。試合後、泥のついたユニホームでこう言った。(福冨旅史)

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