台湾の総統経験者が初の訪中 馬英九氏、蔡総統の訪米に重ねた日程
台北=石田耕一郎
台湾の馬英九(マーインチウ)前総統(72、元国民党主席=党首)が27日、中国を訪問した。共産党との内戦に敗れた国民党が1949年に台湾に移って以降、総統経験者が中国へ渡るのは初めて。29日には民進党の蔡英文(ツァイインウェン)総統(66)が4年ぶりに訪米する予定で、来年の台湾総統選を控え、中国が馬氏をどう遇するかに注目が集まる。
馬氏は27日、台湾北部の桃園空港で報道陣に「両岸(中台)の雰囲気を改善し、早急に平和をもたらしたい」と述べた。
馬氏の事務所は、訪中の目的を「馬氏の(中国出身の)先祖の供養と青年の交流」とした。12日間で南京や武漢、上海などを訪れ、国民党を率いた孫文関連の施設や、南京大虐殺記念館など抗日戦争に関する博物館を参観する。中台の学生による座談会にも同席する予定という。一方で、共産党幹部らとの会談は「中国次第だ」とした。
馬氏は現職総統時代に、対中貿易や交流の拡大を進め、政権2期目の2015年には、共産党の習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)と初の中台トップ会談を行った。「国民党が政権を取れば両岸(中台)は平和になる」と語り、党内でも対中融和に積極的な存在だ。
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