台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統が29日、外交関係を保つ中米2カ国を歴訪する経由地として、米国を訪問する。往路と帰路の2度にわたって立ち寄る米国では、マッカーシー下院議長と会談するとみられている。対米関係の盤石さをアピールする考えだが、米台接近を嫌う中国は揺さぶりを続けている。
台湾総統府は歴訪を前に、「民主主義国との協力を深め、ともに世界の安定を守る」とする目的を掲げた。中国の統一圧力を受ける中、米国との結びつきを強めたい思いがにじむ。
蔡氏が総統として訪米するのは今回で7回目だ。中米訪問に際し、米東部のニューヨークと西部のロサンゼルスを経由する。総統就任直後の2016年の経由地は、東南部マイアミなどだった。
元台湾外交部(外務省)で駐米勤務の経験がある劉仕傑氏は「台湾総統の訪問先は、米国の同意がないと決められない。今回も首都ワシントンが含まれないのは残念だが、ニューヨーク訪問を許可したことは、米国による蔡氏への信頼が反映されている」と指摘する。
来年任期を終える蔡氏にとって、これまで7年をかけて取り組んできた米国との関係強化の「仕上げ」となる。就任後、米国が望む「中台の現状維持」を対中政策の柱とし、中国を過度に刺激する言動を避けた。この親米路線は、トランプ前政権で米中対立が激化する中で加速してきた。
この結果、台湾外交部による…