千葉や静岡のコウモリから新型コロナ近縁のウイルス ヒトはうつらず
そもそもどこからやって来たのか、今なお議論が続く新型コロナウイルス。東京大学などのチームは、その近縁にあたるコロナウイルスの一種を、静岡県や千葉県などの洞窟にすむコウモリから発見したと学術誌に発表した。
幸い、ヒトに直接うつる可能性は低いというが、継続的な調査が必要になりそうだ。
コロナウイルスの一種が見つかったのは、日本各地の洞窟や廃坑などにすむ食虫性の「コキクガシラコウモリ」。
東大の村上晋・准教授(ウイルス学)らのチームが新潟、千葉、静岡、岩手各県でこのコウモリのふんを採取して調べたところ、2019年以降に世界的パンデミックを起こしている新型コロナと近縁にあたるウイルスがそれぞれ見つかった(https://doi.org/10.3201/eid2812.220801)。
見つかったウイルス同士の遺伝情報(ゲノム)配列の一致率は95~97%で、新型コロナとの一致率は約80%。今回のウイルスは新型コロナと同じ系統に含まれるが、直接の祖先になりうるほど近縁なわけではないという。
その上でチームは、今回見つかったウイルスがヒトに感染する可能性があるのかを、新型コロナがヒトの細胞に感染する際の足場となるたんぱく質「ACE2」を発現させた培養細胞で調べたところ、ウイルスは増殖ができなかったという。このため、このウイルスが私たちに直接感染する可能性は「非常に低い」と考えられるとしている。
ただ、油断できないのがコウ…