北京の日本人拘束「なぜ」 広がる戸惑い、可能性を指摘する専門家
中国・北京でアステラス製薬の現地法人幹部が拘束されたことで、中国に駐在員を多く抱える日系企業各社は「中国リスク」の不安を募らせている。米中対立なども背景に習近平(シーチンピン)指導部は外国勢力への警戒を強めており、政治だけでなく対中投資や経済交流も冷え込む事態になりかねない。
アステラス製薬の現地法人幹部の男性が中国当局に「反スパイ法」違反容疑で拘束されたとの情報に、日系企業関係者の間では衝撃が広がった。
男性と親交のあった日系企業元幹部は「ただでさえ中国への警戒感が強まっているなか、中国を理解し、ビジネスを通じて日中の交流を深めようと腐心している日系企業人に対し、法治国家としてありえない仕打ちだ」と憤りを隠さない。
「そこまであぶない橋を渡っているような印象はない」。拘束された男性をよく知る別の企業関係者も戸惑う。
男性はアステラス製薬の現地法人のトップや顧問を務めていた。中国の滞在歴が計20年を超える「中国通」として、北京の日系企業の間ではよく知られた存在だった。医療分野を中心に、中国政府要人と会うなど人脈も豊富だった。
「中国当局が神経質になっている」話題とは
男性は現地企業でつくる中国…
- 【視点】
2019年秋、北大の歴史学者が北京で拘束されたとき、もっとも冷ややかな目で見ていたのは経済界だ。そんな「些細な」ことで、大事な商売が邪魔されたたまるか、という視線だった。2023年、今度は自分たちの番である。 そのときもそうだったが、