死刑をめぐる法制度の改正案を発表 廃止には踏み込まず マレーシア
マレーシア政府は27日、一部の犯罪について、刑罰を死刑のみとしてきたこれまでの法制度を改める法案を議会に上程したと発表した。早ければ4月中の成立、5月ごろの施行を見込んでいる。死刑廃止には踏み込まず、裁判官の裁量による死刑は残す方針だ。
一方、すでに死刑を宣告されている死刑囚のうち約840人については、再審を認める方針だという。
マレーシアでは、殺人やテロ行為など11の犯罪について、有罪となれば死刑とされることが決められている。これに対し、この日提出した法案では、最も重い場合でも、裁判官の裁量で死刑もしくは30年以上(最長40年)の禁錮および12回以上のむちうちなどとすることとした。
また、最高刑を死刑としていた犯罪のうち、銃器の密輸など一部については、最高刑を30年以上(最長40年)の禁錮などに引き下げる方針も同時に示した。
マレーシアでは特定の薬物について、一定量以上の密輸は原則として死刑もしくは終身刑とされている。これについては、今回の改定案で死刑を維持する一方、裁判官の裁量の幅を広げるよう法律の一部を改める方針だ。
マレーシアでは2018年に当時の政府が死刑廃止の方針を打ち出し、執行を停止したが、政界には廃止に反対する声もあり、いまも議論が続いている。(シンガポール=西村宏治)
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