「全員野球の報徳」で一人ダイエットに励む捕手 でっかい夢がある

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山口裕起
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(1日、第95回記念選抜高校野球大会決勝 山梨学院7―3兵庫・報徳学園)

 高校1年の冬、報徳学園の豊岡涼也が練習を終え、自宅で夕食を食べているときだった。

 父の哲也さん(49)に言われた。

 「将来、ボートレーサーをめざすのはどうや」

 「えっ?」

 あまりにも突然のことに聞き返すと、父は続けた。「ボートレーサーやったら、体が小さいのが有利になるんやで」

 そんな選択肢があることを初めて知った。

 身長はちょうど160センチ。小学校低学年のころは背の順に並ぶとクラスの真ん中あたりだった。高学年になるにつれ、前の方になっていった。

 中学2年の終わり、成長が止まった。牛乳を飲んでも、プロテインを飲んでも、あまり効果はなかった。

 それでも、小学1年で野球を始めたときに抱いた夢はあきらめなかった。

 「甲子園に出てプロ野球選手になる」

 西宮市にある自宅から阪神甲子園球場までは自転車で5分ほど。そこに立つことをめざし、地元の強豪・報徳学園に進学した。

 でも、入部して周囲を見渡すと、「思っていたよりもすごい選手たちばかりだった」。同学年は46人。自分より体の大きな選手がずらりといた。

 必死に練習についていったが、同じ捕手のポジションには、強肩強打でプロ注目の堀柊那(しゅうな)がいる。

 「このままでは……」。父が…

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