口コミ装う宣伝はステマ、依頼主を行政処分の対象に 10月から規制

寺田実穂子
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 広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティング(ステマ)の規制について、消費者庁は28日、10月1日から施行すると決めた。同時に、何がステマとして規制されるのかなどの考え方を示した基準も公表した。

 ステマは、事業者の広告であるのに、インフルエンサーなどの第三者に自らの感想や意見のように書かせることで、消費者の合理的な商品選択を阻害する恐れがあると指摘されている。消費者庁の有識者検討会が昨年、事業者の不当表示を禁じる景品表示法に基づく規制の必要性を提言していた。

 消費者庁は、「おとり広告」など個別に告示として指定する不当表示の類型にステマを追加した。「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定義した。行政処分の対象は違反した広告主で、インフルエンサーなどの第三者は含まれない。

 ステマかどうかの判断は「運用基準」にまとめ、大きく二つの判断基準を示した。

 一つは、「広告」であることが明確かどうか。「広告」「プロモーション」「A社から商品の提供を受けて投稿している」などの文言が明確にされていればよいが、記載そのものがなかったり、文字が小さい、薄いといった不明瞭な記載方法だったりすれば、ステマとみなすとした。

 一方で、観光大使など社会的な立場から、消費者にとって、事業者の依頼を受けていることが社会通念上明らかなものはステマの対象とはならないことも明記した。

 消費者庁の担当者は「(こうした人たちが)何かを宣伝するということは国民は織り込み済みだと思うので、一般論としては本告示の規制趣旨からすれば問題にならないというふうに考えている」と話す。メーカーと契約しているスポーツ選手も同様のことが言えるとした。

 もう一つの判断基準は、事業者が第三者の表示内容に関与しているかどうかだ。事業者と第三者の間の具体的なやりとり、対価の内容、過去・今後において、対価を提供する関係性があるかなどの客観的な材料をもとに、個別に判断する。(寺田実穂子)

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