出産時に脳性まひに 陣痛促進剤の使用同意に医療側と妊婦側のずれ
足立菜摘
出産時に赤ちゃんに重い脳性まひが生じた場合に補償金を支払う「産科医療補償制度」について、運営する日本医療機能評価機構は、再発防止に向けた報告書をまとめた。報告書を出すのは13回目で、今回初めて、子宮収縮薬(陣痛促進剤)の使用時の同意について、「詳細な説明がなかった」といった家族の声が記載された。
報告書によると、2015年4月から21年末に補償の対象となったのは787件。事故の原因分析報告書に記載された患者家族からの意見のうち、子宮収縮薬使用時の意思決定に関するものは19件あり、「同意なしに薬が使われた」「拒否したが応じてもらえなかった」などの内容が複数含まれていた。子宮収縮薬を使用する際は、医師は事前に妊婦や家族から同意を得ることが、日本産科婦人科学会のガイドラインで求められている。
書面で同意を得ていたにもかかわらず、家族側が十分納得していない事例も複数あった。
再発防止委員会の木村正委員長(大阪大教授)は記者会見で、「医療側と患者側のミスコミュニケーションに目を向ける目的で(報告書に)載せた」と説明。陣痛が来る前に、医師が妊婦や家族に対し、十分な説明をしておくことが必要、と指摘した。(足立菜摘)
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