ロシアのプーチン大統領が、西隣のベラルーシに戦術核を配備する方針を示しました。現実になれば、ロシアとしては初めて、他国に核兵器を置くことになります。ロシアのウクライナ侵攻後、プーチン氏は「核の脅し」をくり返してきましたが、実際に核兵器が配備される可能性はあるのでしょうか。元外務省軍縮不拡散専門官の西田充(みちる)・長崎大教授に聞きました。
――今回のプーチン氏の発言をどう受け止めましたか。
軍事・戦略的側面と、政治的側面の両面があります。
ベラルーシは昨年2月、ロシアの核兵器を配備できるようにするための憲法改正を承認しています。昨年8月には、ベラルーシの戦闘爆撃機に核兵器を搭載できるようにする改修をロシアの支援で完了した、とルカシェンコ大統領が述べています。
また、先月には、ベラルーシの国防相が、ロシアの核兵器も発射できる戦域ミサイルシステム「イスカンデル」の運用訓練を終了し、独自に運用できるようになったと発表しています。そういった意味では、今回の発表に目新しいものはありません。
基本的には政治的側面、すなわち一連の「核の脅し」の一つとして位置づけられ、すぐに国際社会にとって脅威になるような話ではないと受け止めています。
ベラルーシへの核配備をめぐるロシアの動きは「核の脅し」。でも、これまでとは違うものだと西田教授は指摘します。さらに、「習近平氏への平手打ち」とも。なぜでしょうか。記事後半で論じます。
今回の発表では「7月1日ま…

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