「地位なげうつとは考えがたい」 税理士会での性被害訴えた女性敗訴
東京税理士会の神田支部で事務局職員として働いていた40代女性が、支部役員の男性税理士から性的暴行を受けた末に解雇されたとして、男性と支部に損害賠償や地位確認などを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(小川理津子裁判長)であった。判決は「性的暴行があったと認められない」などとして原告の請求をいずれも棄却した。
女性は2019年8月に男性から事務所に無理やり連れ込まれて性的被害を受けたと訴え、男性は「意思に反するものではなかった」「拒否された時点でやめた」と反論していた。
判決は、客観的な証拠が乏しい中で双方の供述の信用性を検討。性的被害を受けたとする女性の話は、前後の客観的状況などに「事実と合致しない点や不自然な部分がある」などと述べ、男性の話より信用性が劣ると判断。解雇についても「合理的な理由を欠くとはいえない」とした。
判決は、性的被害について、女性が「不本意ながら応じた可能性は否定できない」としつつも、男性が「社会的地位をなげうってまで性的暴行をするとはにわかに考えがたい」とも述べた。
原告側の代理人は28日に会見し、「極めて不当な判決だ」と述べ、控訴すると明らかにした。(田中恭太)
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