守り合いこそ高校野球の原点だ 報徳学園―東邦、好守備連発で接戦に

大坂尚子
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 (28日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 兵庫・報徳学園5―4愛知・東邦)

 大会最多優勝5度を誇る東邦と同2度の報徳学園ががっぷり組み合った。計23安打が出たが、むしろ守り合いにこそ、この試合の真価があったように思う。

 象徴していたのが、4―4で迎えた九回裏の東邦のプレーだ。1死二塁からの安打に中堅手上田耕晟が猛チャージして捕球、間髪入れずに本塁へ返球した。低く鋭い送球がノーバウンドで捕手へ届く。二塁走者をアウトにし、延長タイブレークへもつれこませた。

 東邦外野陣の好返球はこれだけではない。二回1死一、二塁からの安打で左翼手藤江壮太が、2死満塁からの安打で右翼手岡本昇磨が、ともに低く速く正確な返球で二塁走者を本塁でアウトにした。この回、5連打を浴びたのに、失点は1だった。

 早く打球にチャージをする、そして送球は低く――。東邦外野陣はこの基本動作を徹底している。普段から本塁返球を想定し、ティー打撃用のネットを捕手に見立てて練習を繰り返すのだという。「いかに打球に早く触るか。それができれば走者をかえされることはない」。岡本は胸を張る。

 報徳学園も負けていない。九回2死二塁、三遊間への深い打球を遊撃手竹内颯平が足から滑り込みながら捕球、体を三塁方向へ流すことなく一塁へ送球し、このピンチを切り抜けた。竹内は四回2死一、二塁でも難しい三遊間の打球をさばいて三塁で封殺した。

 守備で相手の勢いをそぎ、流れを奪い取る。近年の甲子園ではなかなか見られないような、張り詰めた空気がこの試合にはあった。高校野球の原点を思い起こさせてくれた。(大坂尚子)

 ●山田祐輔監督(邦) 「今日も選手たちは、ここぞという場面で力を発揮していた。流れがこちらにあるときに勝ち越させてやれず、悔しい」

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