28日午後、大きな混乱もなく参院本会議で新年度予算が成立した。野党は放送法の政治的公平性に関する行政文書を捏造(ねつぞう)と主張する高市早苗経済安全保障担当相を追及したが、前半国会は与党ペースで進んだ。自民党の参院幹部は高市氏への追及について「大いなる空振りに終わったな」と余裕を見せた。
昨年の臨時国会では、安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題、閣僚の相次ぐ辞任などで首相が批判の矢面に立ち、内閣支持率も続落した。そうした反省もあり、放送法に関する行政文書をめぐっては、「そもそも前の前の安倍政権の話だ」(首相周辺)と距離を置いた。
矛先は議員辞職も辞さない姿勢を示した高市氏に向かい、首相は「総務省で精査する」「総務省が自ら判断」とかわし続けた。
政策論争も低調だった。昨年12月には「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有や防衛費の大幅増を盛り込んだ安全保障関連3文書を閣議決定。年明けには「異次元の少子化対策」を打ち出した。しかし、敵基地攻撃について質問されても「手の内を明かす」、少子化対策の具体案については「今後の検討事項」と正面から答えない場面が目立った。
予算委で支持率アップ「聞いたことないぞ」
こうした中、政権運営は外交…
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