「条件いい」自民党内に解散風 外交成果で支持率上昇、首相は慎重

有料記事岸田政権自民公明

阿部彰芳 千葉卓朗
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 28日午後、大きな混乱もなく参院本会議で新年度予算が成立した。野党は放送法の政治的公平性に関する行政文書を捏造(ねつぞう)と主張する高市早苗経済安全保障担当相を追及したが、前半国会は与党ペースで進んだ。自民党の参院幹部は高市氏への追及について「大いなる空振りに終わったな」と余裕を見せた。

 昨年の臨時国会では、安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題、閣僚の相次ぐ辞任などで首相が批判の矢面に立ち、内閣支持率も続落した。そうした反省もあり、放送法に関する行政文書をめぐっては、「そもそも前の前の安倍政権の話だ」(首相周辺)と距離を置いた。

 矛先は議員辞職も辞さない姿勢を示した高市氏に向かい、首相は「総務省で精査する」「総務省が自ら判断」とかわし続けた。

 政策論争も低調だった。昨年12月には「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有や防衛費の大幅増を盛り込んだ安全保障関連3文書を閣議決定。年明けには「異次元の少子化対策」を打ち出した。しかし、敵基地攻撃について質問されても「手の内を明かす」、少子化対策の具体案については「今後の検討事項」と正面から答えない場面が目立った。

予算委で支持率アップ「聞いたことないぞ」

 こうした中、政権運営は外交…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター次長)
    2023年3月29日5時0分 投稿
    【視点】

     衆院解散をめぐる国会審議で、個人的に印象に残っているのが2016年の衆院内閣委員会での質疑です。国会議事録に残るやりとりを少し要約すると、当時の菅義偉官房長官に対し、野党議員が1回の選挙で「600~700億円かかる」とした上で、この当時ま

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2023年3月29日7時13分 投稿
    【視点】

    前の解散から一年半もたっておらず「早!」という解散風。あくまで風なので、解散で失職する衆院議員たちが不安心理から先走って吹くこともありますが、火のない所に煙は立たず。要は解散権を事実上握る首相がどう考えるかです。最近ある自民党議員(首相側近