28日に成立した新年度当初予算の最大の特徴は、歴史的な増額となった防衛費だ。ただ、岸田文雄首相は国会で同じ答弁を繰り返すことが多く、野党側も攻め手を欠いた。防衛力強化に向けた政策の大転換に見合った議論が尽くされたとは言いがたい。
政府は昨年12月、2023年度から5年間の防衛費を計43兆円とする計画を決めた。従来計画の1・5倍以上となる規模で、成立した当初予算はその初年度にあたる。27年度には今の5兆円超の予算規模から、さらに4兆円を積み増す方針だ。
野党側は国会で、43兆円の中身の妥当性について追及した。
「どうやって『43兆円』が正しいかどうか検証できるんですか」。立憲民主党の岡田克也幹事長は衆院予算委でこう迫った。新たに導入する米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入数について、首相は「手の内を明らかにしない」と、公表を拒んだためだ。
衆院の予算審議が終わる直前…