四国最大都市で水道料金14%値上げ 収入減と老朽化に頭抱える地方
四国最多の人口を抱える松山市が4月、水道代を値上げする。高止まりする電気代とガス代に加え、市民には平均約14%の負担増となる。背景には、人口減に伴う料金収入の減少や、老朽化する施設への投資がある。縮む社会のインフラをどう維持していくのか。地方行政に共通する問題だ。
「市民生活を無視した便乗値上げだ」。3月20日の松山市議会。議員の1人が壇上で声を張り上げた。しかし、水道代を引き上げる条例改正案を賛成多数で可決。料金は一般家庭が月20立方メートル使った場合の税込み2795円から、375円増の3170円になる。値上げは、消費増税に伴うものを除いて22年ぶりだ。
市の水道会計は今年度、赤字転落が見込まれている。水道施設の耐震化も進んでいない。耐震適合率は36・7%で、全国平均(40・7%)を下回る。
市は総延長340キロに及ぶ老朽化した水道管の交換など、この先10年間で約671億円の経費が必要と試算。値上げの必要性について担当者は「組織改革や業務委託でコストを削減しているが、経営努力だけでは必要な資金を捻出できない」と説明する。
水道事業の維持に苦しんでいるのは、ほかの自治体も同じだ。
愛媛県の今治市議会も24日、水道代を平均8・3%引き上げる条例改正案を可決。4月から3173円から3459円に上がる。市水道総務課の担当者は「3、4年に1回は改定している。平成の大合併以降、各地に点在してきた小規模施設を統廃合して経費削減に努めている」と話す。
現在4833円の宇和島市の水道事業は大正時代からの歴史があり、老朽化とその維持が悩み。担当者は「山間部や半島部を抱え、起伏が多い。ポンプ整備など平野部の自治体より維持管理費がかかる」と言う。
高知市は2787円。消費増税を除くと2002年以来、上げていない。だが、かつては水道事業が25年に赤字に転落するとして値上げを検討していた。事業の見直しによって予定はなくなったが、担当者は「今後の検討課題ではある」と話す。
徳島市は2364円。吉野川などの水源に恵まれていることもあり、四国の県庁所在地で最も安い。消費増税と関係のない値上げも前回は10年で、今のところ予定はないという。
愛媛と同様、瀬戸内海に面し、雨が少ない香川県。18年、市町ごとだった上水道の事業をまとめ、県広域水道企業団をスタートさせた。岡山から取水する直島町を除く県内16市町で構成。20年には、料金の請求頻度を2カ月に1回に統一し、支払い方法もクレジットカードやコンビニ払いなどに足並みをそろえた。
とはいえ、料金はまだ各市町で異なっている。高松市は2970円。昨年4月1日時点で最高の小豆島町(4510円)と、最低の丸亀市と宇多津町(各2860円)の差は1650円ある。企業団は28年4月までの統一をめざしている。
香川のような「広域化」は愛…