蔡英文総統、4年ぶり訪米のもつ意味は 台湾識者がみる米との間合い

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聞き手・石田耕一郎
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 台湾の蔡英文総統が29日、外交関係を持つ中米歴訪の経由地として米国に向け、出発した。蔡氏の任期は残り1年余りで、総統としては最後の訪米になる可能性が高い。米国勤務の経験がある台湾外交部(外務省)の元職員、劉仕傑氏に今回の訪米の意味を聞いた。

 ――蔡氏は今回、中米グアテマラとベリーズに向かう往路で米東海岸のニューヨーク、復路で西海岸のロサンゼルスを経由します。

 台湾と米国は正式な外交関係がなく、総統はこれまで、飛行機の給油などの経由名義で訪米してきました。米国のどこを経由するかや、米国内での旅程についても、すべて米国による事前の同意が必要とされています。

 このため、総統が米国のどこを経由するかには、その時々の台湾と米国の関係が反映されます。蔡氏が今回、往路で経由するニューヨークは首都ワシントンに次ぐ政治都市です。同じく東海岸で学園都市のボストンに比べ、政治性は高いと言えます。

 米国が認めた経由地から判断…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2023年3月29日15時52分 投稿
    【解説】

    バランスのとれた良いインタビュー記事です。 2問目への回答で、「蔡氏が「(台湾独立の主張など)想定外のことをしない」人物だと信頼した」ということが触れられています。これはまさにその通りで、2016年総統選の前からそのような評価がありま