息子が撃たれて死んだ。
まだ、20歳だった。
知らせを受けた日、母は我が子の写真を胸に抱き、問いかけていた。
「どうして、息子は死ななければならなかったのか。結婚したいし、子どもが欲しいって言っていたのに。私は、どうしたら孫に会えるの?」
悲しみに打ちひしがれていたその時、母は、確かに息子の声を聞いた、と思った。
「お母さん、まだ遅くないよ。僕の精子を使って僕の子どもをつくってほしい」
周囲はもちろん、信じなかった。
でも、母はあきらめなかった。
【連載】「出生率3.0」は幸せか イスラエルから少子化問題を考える
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