「舞いあがれ!」の夢から覚める東大阪 今だから立ち上がれ!町工場
これは、ものづくりの町にかかわる都市伝説です。
設計図を紙飛行機にしてビルの屋上から飛ばせば、次の日には製品ができあがって帰ってくる。
東大阪では、どうでしょ?
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高層ビルが林立する大阪市の繁華街から電車で15分ほどいけば、東大阪市に入る。このものづくりの町の名は、この半年間で全国に広がった。NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」のおかげである。
なかじま・たかし 1963年生まれ。経済記者歴が長い。「中小企業の応援団長」を名乗り、東大阪を拠点に「関西のカイシャ」を取材している。
福原遥さんが演じるヒロインの実家は、東大阪のネジ工場。パイロットになる直前だったが、リーマン・ショックの影響で父が急死。急きょ母が後を継ぎ、ヒロインは母を手伝うことに。工場見学、いま風に言うところのオープンファクトリーをしたり、起業して町工場の力をつかった商品開発のプロデュースをしたり。そして、空飛ぶクルマの開発に参加するのであった……。
そんな物語は、町工場を取材している私にとってドキュメンタリーを見るかのようだった。なぜなら、ものづくりを盛り上げようと闘っている女性経営者がふたり、東大阪に実在しているからだ。
ひとりは、戸屋加代さん(4…
- 【視点】
〈あなたたちに、下請けを守る覚悟はありますか……〉 この問いは、空前の値上げラッシュの状況下、それが至極当然のことであるにもかかわらず、今春闘で「満額回答」、「歴史的な賃上げ」と、まるで〝我がの手柄〟のように胸を張る大企業の経営者だけ