作新学院、江川さん時代以来の選抜4強ならず 「悔しさ忘れない」
(29日、第95回記念選抜高校野球大会準々決勝 山梨学院12―3栃木・作新学院)
強打と継投で勝ち上がってきた作新学院(栃木)は、準々決勝で姿を消した。試合後、ベンチ前に整列した選手たちは、必死に悔しさをこらえていた。江川卓氏(元プロ野球巨人)が60奪三振の大会記録をつくった第45回大会以来、半世紀ぶりとなる同校の春の甲子園4強入りはならなかった。
守りからリズムをつくることができなかった。小針崇宏監督は「前半の失点が大きかった。打たれるより、四死球をきっかけに点をやってしまった」。先発の川又楓(新3年)はスローカーブなど緩急をつけた投球で順調な立ち上がりに見えたが、三回に6四死球を与え、踏ん張れなかった。「決め球のチェンジアップを見極められた」と無念の表情をみせた。
攻撃面でも昨秋の関東王者との差を見せつけられた。相手エースは今大会1回戦から4試合連続で先発し、中1日での登板という厳しいコンディションだったが、作新学院は好機に連打が出なかった。機動力を生かして好機にたたみかけてきた山梨学院とは対照的だった。主将の草野晃伸(新3年)は「力負けしたゲーム。相手はエンドランやスチールをどんどんしかけてきて攻めの野球だった。守っていて怖かった」と語った。
全国8強まで勝ち上がれるチーム力は証明できた。さらに上をめざすには何が必要か。小針監督は「バッテリーを中心にいかに失点を減らすか」。草野は「甲子園のレベルの高さを痛感した。自分たちも吸収して成長できるチャンス。負けた悔しさを忘れない」。夏への課題が明確になった春だった。(津布楽洋一)
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