佐々木朗希がテレビで語った東日本大震災の記憶

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コラム「テレビ時評」  斉藤潤一

 「なぜテレビは3月に震災番組を繰り返すのか?」と学生が言った。 今年もテレビは様々な震災特集を制作した。12日の「情熱大陸」(TBS系)は岩手県陸前高田市出身のロッテ・佐々木朗希投手に密着。津波で父と祖父母を失って以来、立ち寄ることがなかった海岸や自宅があった空き地を歩き、家族や故郷への思いを語った。

 「時間が経つと忘れる。野球も負けた悔しさとか忘れてしまう。でも、それを、どれだけ思っていられるかが大事」と話す言葉が重い。

 5日の「こころの時代 あなたに伝える物語」(Eテレ)は阪神淡路大震災で1歳半の双子の息子を亡くした母親を取材。「一生、笑っちゃいけない」と自分を責め続け、生き残った娘の成長さえ喜べない日々を送る。東日本大震災後はPTSD(心的外傷後ストレス障害)にも襲われた。立ち直るきっかけは娘と一緒に見た息子のホームビデオ。「幸せだったから悲しいのだ」と気づき、心の整理がついたと言う。番組は母の心の葛藤を丁寧に描いていく。

 二つの番組に共通するのは主…

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