トルコ・シリア地震の発生から6日目の2月11日、深刻な損害を受けたトルコ南部カフラマンマラシュでは懸命の救助作業が続いていた。がれきの下から生存者が発するかすかな声や音を聞き取るため、救助隊員たちが周囲の人々に沈黙するよう呼びかけた。張り詰めた雰囲気の中、呼びかけに応じず音を立て横切ろうとする老人を、若い男性が「少しは配慮しろ!」と怒鳴りつけた。
親族や知人の無事を祈る人たちは取材を受けられる心境ではないだろうと思ったが、沈黙が終わるのを待ち、声をかけた。トルコ人通訳が私を紹介すると、フェルディ・オダバスさん(32)は先ほどまでの厳しい表情を一転させ、笑顔を見せた。私が日本人だとわかったからだ。
兄とおいを失い、兄の妻の救…