中東で中国に足りないもの サウジ・イラン合意 在米研究者の視点

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ワシントン=下司佳代子
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 サウジアラビアとイランが中国の仲介の下、外交関係の再開で合意しました。米ワシントンのシンクタンク、中東研究所のアレックス・バタンカ上級研究員は、中国が中東で米国に取って代わるには、あるものが欠けていると言います。

 Alex Vatanka 中東研究所のイラン・プログラム創設ディレクター。専門は中東地域の安全保障。

 ――今回の合意でそれぞれの動機をどうみますか。

 サウジは、イエメン紛争への関与を終わらせたいと考えています。非常にコストがかかり、国際的な投資家を遠ざけてしまう悪影響もあり、経済発展の妨げになっています。ドバイ(アラブ首長国連邦・UAE)や世界と競いたいなら安定が必要です。

 サウジの希望は、イランにイエメンの反政府武装組織フーシへ圧力をかけさせ、政治的解決に持ち込むことです。それにはイランに対して影響力を持つ国が必要で、そのような力を持つのは中国だけです。

 イラン側も(欧米の制裁など)すでに多くの問題を抱えており、サウジとの対立を長引かせたくない。イエメンなどでのサウジの反イラン勢力への支援もやめさせたいと考えています。

 ――中国の動機は。

 中国は今日、この地域で経済的に最も強力な存在です。すべての国にとって最大級の貿易相手ですから、どの国も、中国にはノーと言えません。中国は石油やガスを求め、この地域に輸出や投資をしています。

もし米国が「中東はもうたくさんだ」と判断したら

 ただ、中国が米国に取って代…

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