民間小劇場、広がる可能性 演劇・地域・人を結び「出会い」生む場に
増田愛子
劇場は観客に作品を見せるための場――。そんな先入観に縛られない民間小劇場が、各地で現れている。表現者や地域との深い関わりが生み出す可能性は、コロナ禍があらわにした課題への応答でもある。
長野県上田市の中心部にある、3階建ての元銀行を改修した「犀(さい)の角(つの)」。カフェバーのある1階は、天井のバトンに照明をつると劇場に変わる。上階に稽古場にも使える貸しスペース、隣棟には5室のゲストハウスを持つ。
「演劇好きだけが集まるのではなく、偶然の出会いがある場所にしたかった」と代表の荒井洋文さん。静岡県舞台芸術センターで10年間働いた後、Uターン。計画に賛同してくれた持ち主から建物を借り、2016年に開館した。収益の軸は宿泊と飲食。街中を会場に演劇祭を開くなど、地域と積極的に関わってきた。
記事の後半では、沖縄の子どもたちに地元演劇人の作品を届ける活動や、コロナ禍で打撃を受けた若手表現者をサポートする取り組みを紹介します。
しかし、コロナ禍で活動は休…