営業つらくて涙「頑張らなくていい」と妻 少年時代の営みに救われた

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木村健一
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 バレーボール元日本代表で、サントリーのVリーグ5連覇に貢献した佐々木太一さん(51)は33歳で現役を引退した後、ウイスキーの伝道師になった。営業の新規開拓では壁にぶつかり、思い悩んだこともある。どうやって抜け出し、ウイスキーの道を究めたのか。

 追い詰められていた。

 営業職なのに人と接することが苦しい。週末は布団から出られない。家族に隠れて泣くこともあった。

 「外では明るくふるまっていたけれど、自信がなくなって、引け目を感じて」

 逃げたくて、求人情報を見るようになっていた。

 バレーボール選手として成功を収めてきた。高校は無名の公立校で、大学も強豪ではなかった。そこから強豪・サントリーで主力を担い日本代表に。

 ただ、夢だったオリンピック出場はかなわなかった。

 引退し、「1番になりたい」と営業社員となった後に、2度目の挫折が待っていた。新規開拓で門前払いが続く。

 「最初はプライドがあって、『バレーの佐々木です』とは絶対に言いませんでした。それを使って新しい世界に入っても、それは新しい世界じゃない。一から始めるなら、中途半端にしたくなかった。すべてを捨てました」

 「でも、そんなに簡単に酒は売れない。スポーツはできていた自分が、周りの人ができている営業ができない。10年でやるものを2、3年でやろうとするけれど、物を売ることは簡単ではありませんでした。明朗快活に見えるかもしれませんが、どんと沈むことがあって、しんどかった。限界でした。現実逃避したかった」

 妻にはこう言われた…

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