IAEAトップ、ザポリージャ原発視察 「現実的な解決策めざす」

ウクライナ情勢

ブリュッセル=玉川透
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 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は29日、ロシア軍の占領下にあるウクライナ中南部ザポリージャ原発を視察した後に会見した。これまで提案してきた「原発周辺への安全保護区域の設置」にこだわらず、原発の保護に重点を置いた「現実的な解決策」を模索する考えを示した。

 グロッシ氏はIAEAが公開したビデオ映像で、原発周辺で軍事活動が活発化していることに強い懸念を示した。「いかなる状況でも原発は攻撃されるべきではなく、他者への攻撃に利用されるべきでもない。その原則に同意することが非常に重要だ」と強調した。

 そのうえで、ウクライナとロシアの双方が受け入れられる「現実的で実行可能な提案」を検討していると語った。具体策は明らかにしなかった。

 ただし、ウクライナ側はあくまで原発の奪還をめざしており、グロッシ氏の新たな提案に応じるかは不透明だ。27日、グロッシ氏と会談したウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシア軍が直ちに撤退しない限り、いかなる原発の安全回復も失敗する運命にある」と強調した。

 グロッシ氏が同原発を訪れるのは昨年9月以来、2回目。昨年3月のロシア軍の占拠後も原発の周辺では砲撃が絶えず、ロシアとウクライナ双方が相手による攻撃だと非難し合っている。IAEAは昨年9月から職員を常駐させる一方、原発周辺に安全保護区域を設置することを提案したが、調整が難航していた。(ブリュッセル=玉川透)

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