第9回父の時は0円、母は13万円 東京と横浜で違う「異状死」の家族負担
昨年末、「無縁遺骨」の連載の後に読者の女性(65)から一通の手紙をもらった。
〈(皇室ジャーナリストの)渡辺みどりさんの記事に衝撃を受けました。つい最近まで仕事をされていたのに〉
女性は「異状死(いじょうし)」について解説した記事を手紙に同封していた。異状死とは法医学の定義で、明らかな病死以外の死のことだ。
自宅マンションで一人で亡くなった渡辺さんは異状死として警察に届けられた。異状死はひとり暮らしの高齢者の増加とともに増え、2021年に警察に届けられた件数は17万件を超えた。
異状死とされると、遺族らは事情聴取され、検視官が検視して警察医(一般の臨床医)が立ち会って死因を判定する。事件性が高いとみなされなくても、行政解剖を受けなければ火葬できない。行政解剖のあり方は地域によって異なる。
ジャーナリストの平野久美子さん(73)は10年9月に世田谷区内の自宅で父親を、20年3月に横浜市の介護施設で母親を亡くした。
「どちらも異状死として警察に届けられ、事情聴取を受けました。東京と神奈川であまりにも対応の違いがあり、困惑しました」と語る。
独居高齢者の数と比例して増えている異状死。最期を迎えた地域で、遺族にかかる負担に「格差」がありました。専門家には、異状死を避けるための準備も聞いています。
遺体の行政解剖費も運搬費も 全額負担の「神奈川方式」
父が亡くなった世田谷区など…
- 【解説】
・・・「死」にも格差、従来の「当たり前」の変化 連載「無縁遺骨」の第9回。多くの人がおそらくふだんは気にしていないし、知られていないだろうことばかりだが、他方で誰でもいつかどこかで関わりうる話で、読まれるべき内容である。 まずシンプ
- 【視点】
異状死とされた場合の、遺族にかかる負担の地域格差。こんなに大きな違いがあるんですね。ただお金の負担も大変でしょうが、もっと気になるのは、ご家族の心理的負担です。警察に事情を聴かれるのはつらいし、ご遺体を移動させて検案する時間は、ご家族が亡く