カルテルに顧客情報の不正閲覧 共通する電力業界の「新規つぶし」
公正取引委員会は30日、大手電力会社がカルテルを結んでいたとして独占禁止法違反を認定し、中国電力、中部電力、九州電力などに対し、総額約1千億円の課徴金を納めるよう命じた。事件の背景には何があるのか。電力各社は再発防止に向けて何をすべきか。
公取委OBで、現役時代に課徴金総額が計約398億円だったアスファルト合材をめぐるカルテル事件(2019年)を指揮した東京経済大の中里浩教授(独占禁止法)に聞いた。
――今回の事件をどうみるか。
2016年に電力小売りは全面自由化された。それは、新電力など新規参入する企業を含めて一定の競争を確保しようというのが目的だった。今回のカルテルは、その目的を骨抜きにした点で非常に悪質だ。また、西日本で最大の電力会社である関西電力を含め、それぞれの地域を代表する企業が不正に関与していた点も見逃せない。
近年、燃料高騰などを理由に、新電力の撤退が相次いでいる。自由化がきちんと機能していれば、新電力がカルテルの歯止めになったり、撤退せずに生き残っていたりした可能性もある。その点から考えても、カルテルによる影響は大きい。
――事件の背景にあるものは。
自由化される前、地域独占を…