イスラエル、甘い飲み物への課税廃止 糖分好む「超正統派」に配慮?

エルサレム=高久潤
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 ネタニヤフ政権が進める司法「改革」をめぐり対立が激化しているイスラエルで、極右政党のスモトリッチ財務相が、ジュースや炭酸水など甘い飲み物にこれまで課されていた税金を廃止したと発表した。医療関係者からは、「糖分の消費量が増え健康に悪い」と反発の声が上がっている。AFP通信などが伝えた。

 イスラエルには、ユダヤ教の戒律を重視する「超正統派」と呼ばれる人たちがいる。子どもは神からの祝福であるという教えに忠実で、5人以上の子どもがいる家庭もめずらしくない。所得水準が比較的低く、安くて糖分を豊富に含むジュースや炭酸水などをたくさん消費するとされている。

 地元紙「タイムズ・オブ・イスラエル」などによると、この税は以前の政権が「健康への悪影響」を是正するために導入した。超正統派の人らを支持基盤とする連立政権内の宗教政党に配慮して、スモトリッチ氏が、それを覆したかたちだ。

 イスラエルは2021年、合計特殊出生率(女性が一生で産む子どもの数、中央統計局調べ)が先進38カ国からなるOECD(経済協力開発機構)で最も高い3・0だった。超正統派の存在が、この数字を押し上げる一因とされてきた。

 国内では経済発展と並行して物価が高騰しており、スモトリッチ氏は、税の撤廃は家計を助けるためだとしている。ただ、イスラエル医師会会長は、国民の健康に対して「無責任だ」と猛反発。国民に「甘い飲み物ではなく水を飲むように」と呼びかけている。(エルサレム=高久潤

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