「組員から特殊詐欺受けた」 関東の女性4人、工藤会総裁らを提訴

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 特定危険指定暴力団工藤会」(北九州市)の組員が絡む特殊詐欺の被害に遭ったとして、関東地方在住の70~80代の女性4人が29日、工藤会トップの野村悟総裁(76)=一審で死刑判決、控訴中=ら3人に計約1373万円の損害賠償を求め、横浜地裁に提訴した。

 提訴は29日。福岡県警暴対法に基づいて、工藤会幹部に対し、裁判の原告に面会要求や文書送付といった「請求を妨害する行為」を行うことを禁止する仮命令を出した。損害賠償訴訟への仮命令は初めてだという。

 弁護団によると、原告4人は2019年9~11月、親族を名乗る工藤会系の組員ら数人から「事件や事故の示談金が必要」とうその電話を受け、計1135万円をだまし取られた。組員は指示役として逮捕され、有罪が確定しているといい、野村総裁に対しては、暴対法に基づき、代表者責任を問うという。

 弁護団は2月施行の改正民事訴訟法の秘匿制度を利用し、名前や住所を伏せて提訴した。原告弁護団によると、特殊詐欺事件で工藤会トップの野村総裁を対象とした民事訴訟は全国で初めてという。

 福岡県警は、特殊詐欺が暴力団の資金源につながっているとみて、4月から暴力団などに損害賠償請求を起こす被害者の身辺の保護対策を強化したり、裁判に向けた弁護士調査の委託料を負担したりする取り組みを始める。

 県警組織犯罪対策課は「損害賠償の支払いにつながることで、暴力団の資金源を断つことにつなげたい」と話す。

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