ずっと追いかけてきた友よ、「また戦える」甲子園準決勝で再会の奇跡

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熊谷姿慧 岡純太郎
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 第95回記念選抜高校野球大会は3月31日の準決勝第2試合で報徳学園(兵庫)と、大会連覇を目指す大阪桐蔭が対戦する。報徳学園の林純司選手(3年)にとって熱望した相手だ。ずっと追いかけてきた友とまた戦える。

 今大会、林選手は初戦の2回戦こそ二塁手の先発を外れたが、3回戦の東邦(愛知)戦では本塁打を含む3長短打。準々決勝の仙台育英(宮城)戦でも3安打を放った。無失策の守備でもチームの6年ぶり4強入りを支えた。大角健二監督は「林は一番練習する選手。成果はこういう大舞台で出ると教えてくれた」と評価する。

 その林選手には、どうしても打ちたい相手がいる。今大会屈指の好投手、大阪桐蔭の背番号1で主将、前田悠伍投手(3年)だ。

 中学時代に滋賀県長浜市の硬式野球チーム「湖北ボーイズ」で一緒だった。前田投手から「気を使わなくていいから投げやすい」と言われ、中2からバッテリーを組むことに。新型コロナ禍で練習ができなかった時期も、宿題を早く終わらせて時間を作っては電話をつないで一緒にトレーニングをするほど仲が良かった。林選手は前田投手のことを「練習するところを人には見せず、陰で努力するストイックな人」と語る。

 進学先は分かれた。1年生の頃、前田投手は注目の左腕としてメディアにも多く取り上げられた。一方、自分は思うようなプレーができずに結果も出ず、ベンチ入りも遠かった。当時は前田投手のことを「すごいな、頑張ってるな」とまるで人ごとのように見ていたという。

 しかし、チームの最上級生になる2年生の秋が近づくにつれ、「あっちだけが成長していて、自分は何をしているんだろう。もっと頑張らなきゃ」と意識が変わっていった。練習ではより厳しく自分を追い込んだ。

 努力が実り、昨秋の兵庫県大会からレギュラーに。近畿大会では準々決勝、準決勝と2試合連続で勝ち越し適時打を放つなど活躍し、決勝に進んだ。

 相手は大阪桐蔭だった。0―1で敗れた。先発した前田投手に完封され、自身も無安打に終わった。大阪桐蔭の校歌を聞きながら号泣した。「(前田投手は)中学のときと全然違いました。甘い球も少なく、それも仕留めきれませんでした」

 年始に地元の長浜市に帰省し…

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