田中将大が「第2の故郷」で見せた円熟味 新球場最初の勝利投手に
(30日、楽天3―1日本ハム)
ピンチを切り抜けても、かつてのようには、ほえない。東北楽天ゴールデンイーグルスの先発、34歳の田中将大が円熟味あふれる投球で試合をつくった。
内外角を丁寧に攻めて、四回までは1人の走者も許さない完璧な立ち上がり。1―0とリードした直後の五回だった。1死から北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎に初安打となる二塁打を浴び、次打者には死球。一、二塁のピンチを招いても落ち着いていた。万波中正には低めへの変化球を続けて空振り三振に。宇佐見真吾は一転、高めの真っすぐで捕邪飛にしとめた。六回途中、1失点で後を託した。
大リーグ・ヤンキースから日本球界に復帰して3年目になる。過去2年は4勝(9敗)、9勝(12敗)と負け数が先行し、オフには投球フォームの改造に取り組んだ。「(過去2年も)良いものがないかとトライしながらやっていたが、小さい変化だけではダメだったんで大きく変えないと」。切望したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表には選ばれなかったものの、気持ちを切り替え、春季キャンプでは構え方や立ち位置、足の使い方など色々探った。
オープン戦は4試合で防御率2・16。「良い形で投げられている。シーズンを通してやっていくだけ」。手応えはつかんでいた。
日本では11年ぶりとなる開幕投手は、キャンプ初日に伝えられたという。節目の試合は駒大苫小牧高時代を過ごした北海道で、しかも新球場のこけら落としだった。「143分の1だと思いますが、シーズンの一発目。ここから始まる大事なゲームになる」。意気込み通りに役目を果たし、上々のスタートを切った。(笠井正基)